医学部に強い中高
2024.07.04
【順天中学校・高等学校】法人合併により2026年度から北里大学の付属校に! 資質・能力を育む探究活動を通して 医学部も含む中高大一貫教育を実践
江戸時代の私塾から出発し、創立190年を数える順天中学校・高等学校。進学教育・国際教育・福祉教育の3つを柱にした教育を展開し、高い進学実績で知られる。北里大学の付属校となる2026年度からは、医学部への内部進学も可能になる。今後の教育をどのような方向に発展させていくのか、教育支援センター長の片倉敦教諭に伺った。
従来からの教育の延長線上に 医学部内部進学を位置づける
教育支援センター長
片倉 敦 先生
順天中学校・高等学校は、SGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)の指定実績を持ち、グローバルな広がりを持つ探究活動や、社会貢献につながる探究活動にとくに力を入れてきた。2026年度からは北里大学の付属校になるため、これらに加えて、中高大一貫教育の側面を強く打ち出すことになる。
「これまでは特定の学部をめざすような指導は行ってきませんでしたが、北里大学の付属校になることで、今後は医学部への進学も視野に入れていくことになります。ただし、教科学力を高めることのみに終始するつもりはなく、これまで本校が目指してきた3つの資質・能力、すなわち『創造的学力(主体性)』『国際対話力(多様性)』『人間関係力(協働性)』を、より磨き上げることで、医学部進学につなげていきたいと考えています」と片倉教諭は語る。
その好例として片倉教諭は、「ザンビアブリッジ企画」を挙げる。同校から秋田大学医学部に現役合格した宮地貴士氏が在学中に立ち上げた団体で、別の大学に通う同校の後輩医学生たちを巻き込み、アフリカ・ザンビア共和国の無医村に診療所を建設する活動を行っている。単なる金銭的援助ではなく、現地の人の雇用を生み出しながら診療所が永続的に運営できる仕組みを構築したという。
「医師には学び続ける力が必要ですが、それに加えて、多様な人たちとコミュニケーションを取りながら、社会に貢献していく意志が求められます。彼の行動はまさにそれが反映されたものであり、本校における国際教育や福祉教育の成果ではないかと自負しています」(片倉教諭)
実際、現在でも、生理用品を手に入れられない女子学生を支援するザンビアの学生グループに、布ナプキンの作り方を教えるプロジェクトや、カンボジアの教育支援プロジェクトをはじめ、海外から来た人たちに易しい英語を教える活動、高齢化する団地の活性化を支援する活動など、同校生徒の間で、社会貢献につながる活動が幅広く行われている。
内部進学枠は設定せず 基準を満たす生徒を推薦
探究から研究へ、そして未来を創る人となる
このように、基本的な教育方針には変更はないが、北里大学への内部進学を見据え、教育体制は見直すことになる。現在、高校は「一貫選抜」「理数選抜」「英語選抜」「特進選抜」の4コース制で、クラスが分かれているが、26年度までに専攻制に変えていく。すなわち、いろいろな専攻の生徒が集まるホームルームを設定して必修科目はそこで学び、たとえば午後は各専攻に分かれてそれぞれに学ぶといったスタイルだ。
「北里大学の医学部・獣医学部・薬学部への内部進学をめざす生徒には、“北里専攻”のようなものを設け、医療従事者に必要な資質・能力に加えて、大学受験を経て入学した学生に劣らないだけの学力を身につける教育を行う予定です」(片倉教諭)
北里大学への内部進学には推薦枠は設定しない。資質・能力と学力を高めに設定し、本人の強い意志を確認した上で推薦するという。現状では理系選択者は4割に満たないが、付属化によって5割程度に増え、そのうち3割が北里大学への内部進学といった未来像を描く。北里ファミリーとしての、アイデンティティ教育にも力を入れていく。
「付属校になることを選択したのは、受験勉強で疲弊させることなく高校から大学につなげることで、大学で伸びる学生、ひいては日本の発展に寄与できる人材を育てたいと考えたからです」との片倉教諭の言葉に、選択の幅を確保しつつ、成長を促す高大接続のあるべき姿を見た。
※本記事は『日経ビジネス 特別版 SUMMER.2024〈メディカルストーリー 教育特別号〉(日経BP社)』に掲載されたものです。
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